トスカーナの中でも、シエナ県南部、グロッセート県(マレンマ地方)の料理。このゾーンは厳しい自然の中、トスカーナの中でも特に貧しかった地域で、まさに「貧しい農民の料理」であるトスカーナ郷土料理の中に最たるものの1つ、と言えるでしょう。その名前も「Acquacotta = 水を煮た」という、まさに余った素材だけで味わいを出していたもの。なので、中身はなんでも良いのですが、私はばーちゃんのものをベースにしています。残念ながらばーちゃんのアクアコッタの写真は残っていませんが、ばーちゃんはこんな人でした。
よく「リボッリータとの違いは何ですか?」と聞かれますが、リボッリータの必須素材である黒キャベツや豆は入らず、逆に唯一の栄養源が卵。昔の田舎の家庭ではみな鶏を飼っていたので、卵には困らなかったのでしょうね。ばーちゃんは卵を最後に落とし形を残していましたが、マンマは卵を溶いて入れる派。また、そのまま落としてもかなり半熟の状態で火を止め、各自が器の中でつぶしながら中身を出して食べるなど、卵の加減はお好みで。
現地のレストランに行っても、なかなかメニューに出ることがないほど「粗末な料理」なのですが、私はモンテメラーノ近郊のこちらのレストランで食べました。ここのはうちのばーちゃんのアクアコッタそっくりで、聞いてみると、やはりこちらもシェフのおばあちゃん直伝レシピだそう。
また、サンタ・フィオーラでは8月半ばに「アクア・コッタ」のサグラ(食祭り)が行われますので、8月にアミアータ山周辺に滞在される方はぜひ!
材料(4人分)
◎玉ねぎ・2つ ◎セロリ・3本 ◎人参・1本 ◎トマトピューレ・100㎖ ◎卵・4つ ◎固くなったパン・4枚 ◎オリーブオイル、塩・適量
作り方
1)玉ねぎ1つ、セロリ1本、人参1本でブロード(野菜スープ)を作る。他にネギ、ブロッコリーの芯など、余った野菜を入れてもOK。
2)玉ねぎは櫛型の薄切り、セロリも斜め薄切りにし、鍋でオリーブオイルでじっくり炒める
3)2)に1)のブロード、トマトピューレを入れ、2)がクタクタになるまで煮込み、塩で味を調整
4)3)に卵をそのまま投入。4つがくっつかないように、間隔を開けてやや時間差で入れるとあとで分けやすいです。
5)それぞれの器に固くなったパンを軽く砕いて敷き、4)を注いで出来上がり!卵は最後にのせる感じで。
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